ビジネス体験記

副業・ビジネスについて考察をしていきます。

ネットワークビジネス体験記⑧:自己啓発セミナーの闇

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⑦の続きです。

 

ネットワークビジネスと自己啓発セミナー

ネットワークビジネスの歴史を見てみると、できた当初から「ネットワークビジネス」と「自己啓発セミナー」は切ってもきれない関係だということがわかります。詳しく知りたい方は、「ホリデイマジック」「リーダーシップ・ダイナミックス・インスティテュート」「ライフダイナミックス」などで検索をかけてみると情報を取ることができますので調べてみてください。

 

「自分はなんでもできる」と思わせるために、あらゆる手段を使って人格改造、人間解放を行うのが自己啓発セミナーの目的である。その人が望む目的のために改造するのはまだ自己責任の範囲で許されると思うが、それがネットワークビジネスの売上目的だった場合はどうだろうか。

 

今回は実際に自己啓発セミナーを受講したAさんから詳細を聞くことができた。少しでも自分が望まない洗脳される人が減るように、こちらに書き記しておく。

 

セミナーの事前準備

セミナーは100人規模の貸し会議室で2泊3日のスケジュールで行われることが多い。

参加者は当日集まるとまず、セミナー全体を通しての注意事項を説明される。

 

  • スマホ・パソコンなど、外界と連絡が取れるものは、一切の使用を禁止される。
  • 中でもセミナーに紹介してくれた人への連絡は、厳禁である。
  • セミナー会場の近くに、宿泊のためのホテルがとってある。セミナー会場を出たら一切のお話は禁止である。
  • 食事は支給をされるので、外のお店に買いに行くのは禁止。

 

これらの約束を見てみると、外界との接触を極端に避けさせることがわかる。なるべくセミナー以外の刺激を感じさせないように、細心の注意がされている。セミナー会場の中も、普通に窓が付いている会議室なのだが、全ての窓は閉められ、目隠しのカーテンが終日されていたという。こうした半密室状態の中、セミナーは始まっていく。

 

外部の研修なのに、なぜかネットワークビジネス関係者がいる?

セミナーを進行していくのは、全体を統括するマスタートレーナーだ。ただし、100人ほどの参加者全員を一人で進行していくことは難しいので、補佐するためのアシスタントトレーナーが10名ほど付いている。

 

Aさんは当初、「この研修は取り組んでいるネットワークビジネスとは何も関係がない、外の団体が主催している研修である。」と説明を受けていたようだが、実際に行ってみると、アシスタントトレーナーは全員、取り組んでいるネットワークビジネスである程度成功をしているアップラインの人たちだったと語ってくれた。このことからも、ネットワークビジネスとそこから紹介される自己啓発セミナーの間にはなんらかの関係があることが見て取れる。

 

セミナー開始。洗脳の初期段階:徹底的な自己否定

セミナーが始まるとまず、会場の中からペアを作るように指示があります。

ペアを作り終わるといきなり「相手のダメなところ」を言い合うように言われます。

初対面の方がほとんどですので、雰囲気や外見などでダメなところを言い合う人が多かったようです。「覇気がない」「顔が汚い」「においが臭い」「暗い」「胡散臭い」など、ありとあらゆる暴言が会場中に飛び交います。

言い合いが終わったらペアを変え、また同じようにダメなことを言い合う時間が続きます。

 

この他にも、いくつかのゲームを通して、徹底的に自己否定させられる時間が続きます。ペアになった目の前の人、マスタートレーナーなどの他人からはもちろんですが、自分で自分を否定するように促してくるワークショップもあります。

このように自己否定をされ続けると、人は精神的に弱くなりやすく、「洗脳されやすい状態」へとどんどん変化をしていきます。

マスタートレーナーが全体の雰囲気をみて、自己否定が進んだと判断すると、ワークショップは次の段階へと進んでいきます。

 

洗脳の第二段階:承認

第一段階の「徹底的な自己否定」を通して、洗脳されやすい状態になると、次に待っているのは「承認」の段階です。

先ほどまで人に否定され、自分でも自分を否定されてきた人が、急に誰かに承認をされると、「こんな自分を認めてくれる人がいるなんて!」と心が急に軽くなってきます。

承認された快感と共に、今度は承認してくれた人のいうことはなんでも受け入れるという精神状態になってきます。自己否定と承認をセットでされると、人は従順に物事を受け入れてしまいます。

 

この段階で行われる「承認」の手段としては、こんなものがあります。

  • 言葉で褒められる
  • ハグをされる
  • 握手をされる
  • 笑顔で向かい入れられる

 

どれも日常生活で行われるなにげない行動ですが、第一段階の自己否定とセットですることで、喜びは通常の何倍にもなります。

承認をされ、自分はなんでもできるという活力が湧いてきたら、最終段階のコミットメント(誓約)に入っていきます。

 

洗脳の第三段階:コミットメント

最後に行われるのは、「コミットメント(誓約)」です。

これまでの段階を通して、自分を見つめ直し、自分の進みたい方向性がわかってきたところで具体的な目標を立てる時間となります。

 

話を聞いたAさんに、コミットメントの時間の雰囲気を聞くと、大抵の人がネットワークビジネスに関する目標を立てていたと言います。

※建前上はネットワークビジネスと自己啓発セミナーの間には何も関係がないことになっていますので、具体的な「ネットワークビジネス」という単語は出してはいけないという暗黙の了解があるようです。ただし、「自身のビジネス」のようにオブラートに包みながら話すことは了承されているようでした。

 

具体的な目標としては、下記二つが多かったようです。

  • 「●月●日までに●人を勧誘します!」
  • 「●月●日までに自身のネットワークビジネスで月商●円を達成します!」

 

また、これ以外の目標を行った人には、マスタートレーナーから「あなたは本当にそれがやりたいのですか?」などとツッコミが入ることもあり、半強制的にネットワークビジネスの目標を立てさせられた人もいるということでした。

 

まとめ:自己啓発セミナーには洗脳の仕組みが多く仕掛けられている。

今回お話を聞いたAさんは、セミナーの受講後1ヶ月ほどは、頭の中がふわふわとして、何かせずにはいられないような状態が続いたと言います。

人によっては、セミナーが終わった勢いそのままに、友達をネットワークビジネスに勧誘し、大事な友達を失った人もいるようです。

 

セミナーに行くのはもちろん個人の自由ですが、自分の人生を台無しにする可能性があるということも念頭におき、判断をした方が良いと思います。

誰かに押し付けられた目標を生きるのか、自分の本当に願う目標を生きるのか、決めるのはあなたです。